2008年9月19日金曜日


モロー「オイディプス」の紹介

この絵の主題もギリシア神話をもとに描かれている。イタリアから戻った頃の作品ですので、古典的な手法が多く見られます。
オイディプスは、「我が子に殺される」というアポロンの神託を恐れた父であるテバイ王ライオスに殺されかかるが、家臣に助けられた。成長したオイディプスは、テバイの町に行き、知らずに父を殺してしまう。オイディプスは、怪物スフィンクスに問いかけられた謎を解き、スフィンクスは悔しさのあまり崖から飛び降り、自らの命を絶った。新王となったオイディプスは、何も知らずに実の母を后に迎えるが、やがて全てが明らかになったとき、自らの目を潰して町を去る。
このように手がけた主題(画題)は歴史画や神話画が大半であるが、その解釈は画家独特のものであり、幻想性と宝石細工のような美しさに溢れている。また大作の多くは油彩画であるが、水彩による習作やデッサンなどにも画家の卓越した力量が示されている。1826年、建築家(建築技官)であった父ルイ・モローと音楽家の母ポーリヌ・デムティエの間にパリで生まれ、幼少期からデッサンなどで才能を示す。しかし、画家自身は孤高の存在であった。1888年、美術アカデミー会員に選出され、1891年からはエコール・デ・ボザール(国立美術学校)の教授となり、20世紀を代表する画家ジョルジュ・ルオーやフォーヴィスムの画家アンリ・マティスらを教える。1898年、癌のために死去する。

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