2008年9月2日火曜日

ルドンの絵には闇がある



ルドン「ケンタウロスと龍」の紹介



ルドンの作品は、このブログでも幾度か紹介しています。ルドンの描く「象徴的な世界」が個人的に好きで、よく取り上げているのです。この「ケンタウロスと龍」は、ギリシア神話から題材を得ています。ケンタウロスが龍と闘っているところを描いていますが、闇の中に浮かぶその姿に、わたしはいつも静寂とむなしさを感じてしまいます。ケンタウロス(下半身が馬で上半身が人の姿)には、きわめて攻撃的(野蛮)なものと、知性を備えたものとがいます。むろん、その両方を持ち合わせたものも多くいたと思います。いずれにしてもギリシア神話では、英雄ヘラクレスの手でケンタウロス族は滅ぼされてしまいます。ケンタウロスの姿の裏に人間の姿をダブらせて見てしまうのは、わたしだけだろうか・・・。


以下は最近のニュースです。

ロシア軍報道官は28日、同国北部のプレセツク宇宙基地で大陸間弾道ミサイル「トーポリ」の発射実験を実施し、カムチャツカ半島の標的に命中させる成功を収めたと述べた。地元メディアが報じた。同ミサイルにはミサイル防衛(MD)システムによる探知を避ける能力があるとしている。 米国が東欧で推進し、ポーランドが先にミサイル配備に合意したミサイル防衛システムを意識した実験とみられる。ロシアは自国の防衛力への脅威として同システムに激しく反発していた。 ロシアはポーランドが配備に踏み切った場合、報復措置を示唆していた。ロシア軍報道官は今年末まで類似の発射実験を繰り返すとも言明した。


ルドン「蝶と花」の紹介


この「蝶と花」は、板に水彩で描かれています。水彩やパステルを使った作品が多いのもルドンの特徴です。頭の中に浮かぶイメージをすばやく描きとめるには、適した画材だと思います。ルドンは、蝶を繰り返し描いています。昔から蝶は、「死者の魂」の象徴とされています。おそらくルドンは、死のイメージを意識してこの絵を描いたものと思われます。若き頃、妹や弟の死を、ルドンは目にしています。幼い息子の死にも、立ち会うことになります。パステルの粉のように、ルドンの絵は、いつも危うくデリケートなものになります。ルドン自身、蝶のように彷徨しているように見えます。晩年、花を繰り返し描いていますが、この美しい花こそ「母親のイメージ」であり、この絵の片隅にも見られます。ルドンは、幼いときに母親に捨てられています。この『心の傷』が、すべての作品に見られます。わたしは、ルドンの絵に「風」を見ているのかもしれません。

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